活動報告

2019.10.18 卓越サロン

第6回卓越サロンを実施しました

日時:10 月 18 日(金)15:30~17:30
場所:柏キャンパス基盤棟 2 階大会議室
内容:

  1. 2 期生へのガイダンス・自己紹介
  2. 2 期生の研究発表・質疑応答
  3. 研究発表の講評会、次回の卓越サロン実施日程調整

第 6 回卓越サロンでは、2 期生の佐々木さん、三上さん、村松さんが研究発表を行いました。今回は、発表のやり方についてコンサルヴィ先生からご説明があり、先生が用意されたコメントシートを利用しながら発表が行われました。3人の質疑応答が終わった後は、1 期生、2 期生がその場に残り、出口先生、コンサルヴィ先生と発表の講評を行いました。発表を聞いていた 2 期生からも、発表の仕方やスライドの内容などについてのコメントやアドバイスがあり、活発な講評が行われました。


三上航平(新領域創成科学研究科・海洋技術環境学専攻・M1)

研究題目
光ファイバセンサを用いた船体構造健全性評価に関する研究

研究要旨

安全で効率の良い船舶を設計・運用するためには、実海域における船の挙動・荷重を正確に把握することが重要になる。そのために実空間から得られる情報を基に、実空間における船の状態をサイバー空間内で再現し、船体構造の健全性を評価するシステムの構築を目指す。実空間から情報を得るための手法としては、光ファイバセンサを用いたひずみ計測を用いる。得られたひずみと船体の有限要素モデルから、逆有限要素法(inverse Finite Element Method, iFEM)を用いて変位を再現する。さらに有限要素法を用いて、変位によって船体構造に生じる応力を推定し、応力を基に構造の健全性を判断する。本システムによる実船へのフィードバックとして、危険回避のための操船や適切なメンテナンス時期の提案などが考えられる。また長期的には、過剰な強度を排した安全かつ効率の良い船舶の開発に寄与すると考えている。

三上さんの発表についてのコメント

異分野の私には未知の内容であったが、船舶海洋分野における環境対策の需要の大きさに興味をひかれ、発表後すぐに EEDI 等を調べてしまった。また、デジタルツインなど私の分野では聞き慣れない手法も面白く、このような他分野での手法や発想が自身の研究にも応用できる可能性を感じた。

村松

船という自分の研究分野であるナノレベルでの分子動態の測定とは全く違う分野の研究でしたが、非常に興味を惹かれました。自分は初め、船は自動車や飛行機などの輸送機関と比べ古くから使われている手段であるから、研究し尽くされていて設計を大きく改善する余地は残っていないと思っていました。しかし、実際は、船の材質や運搬物、航海するルートなどにより、環境への負荷を減らすための最適な設計をする必要があることを知り、驚かされました。自分とは異なる分野から環境問題を考え研究している人が身近にいるということに、いい刺激を受けました。

佐々木

村松駿(新領域創成科学研究科・人間環境学・M1)

研究題目
非接触で計測可能な心拍計の開発に関する研究

研究要旨

近年、血圧や体温、心拍等バイタルサインの計測による健康管理が広く行われている。しかし、これらの計測では生体へ直接器具を装着する必要があり、特に高齢者や犬猫、家畜等に対する長時間のモニタリングにおいて大きな負担となっている。その対策として、カフレス化や非接触化といった装着負担軽減のための新たな計測手法の研究開発が盛んに行われている。そこで、最も重要なバイタルサインである心拍計の非接触化を目指す。
非接触心拍計測にはいくつかの先行手法が存在する。しかし、マイクロ波を照射して体動を計測する手法では、コストと精度の面で課題が残っており、また、カメラを用いて顔表面の輝度を計測する手法では、常に肌を露出する必要があり被毛のある動物に適用できないという問題がある。そこで、マイクロフォンで心音を計測する手法に目を付けた。
マイクロフォンによる心音計測では、環境音や肺音をはじめとする心音以外の無数のノイズを除去する必要がある。そこで、約 50cm という非接触条件下で心音を抽出することを目的とし、計測時の心音の特徴を活用した処理を組み合わせることで目的を達成する。具体的には、心音と方向の異なるノイズを指向性マイクで除去、心音と周波数帯域の異なるノイズをデジタルフィルタで除去、心音と波形パターンの異なるノイズをブラインド音源分離技術で除去することを考えている。

村松さんの発表についてのコメント

非接触での心拍計の開発というテーマは、分野の違う研究をしている人にも非常に分かりやすく、実用化が期待される研究だと思いました。実用化の中で大きな障害は、様々な音が生じる環境から心音だけをいかにして抽出するかという部分だと思います。私の研究のナノレベルでの分子動態の測定でも、解析の際に様々な成分を含んだデータから対象の成分だけを抜き出すことが大きな課題になっています。お互いの研究で活かし合える部分があれば、協力して研究を進めていきたいと思います。

佐々木

音響による非接触の心音計測装置の開発についてという非常の興味深いテーマであった。被験者への負担が少ない、非接触での心音計測が可能になることで、高齢化の進む日本の医療に有益な技術となると考えられる。
一方で他の手法のメリット・デメリットをまとめたものがあると良かったと思う。いくつかの手法を組み合わせて相補的
に計測の信頼性を向上させるような方法も考えられないだろうか。また、マイクで拾った音からノイズ等を分離し、目
的の信号のみを抽出するという技術は、心音計測に限らず他分野でも課題となっていると考えられるので、広く既往の研
究を見てみると良いのではないか。

三上

佐々木大輔(新領域創成科学研究科・物質系専攻・M1)

研究題目
回折X線明滅法(DXB)を用いた歯車型分子結晶からの分子動態測定

研究要旨

この研究は、ナノレベルの高精度な測定を行うことで、物質の耐久性評価の新しい方法を様々な機能性材料に対して確立することを目標としている。物質の劣化は、分子構造の変化や分子自体の変性が原因で生じるため、それらが進行すると、分子動態も変化すると考えられる。この分子動態の変化を高精度に測定することで、物質の耐久性評価が可能になると考えている。そのために、まずは単純な回転運動を示す歯車型分子([{AuP(p−Tol)3}4bim]ClO4)2)分子動態を高精度に測定することに着手している。測定対象の歯車型分子は、私が学部4年時に合成に成功した分子であり、学部4年時の研究成果として、温度の上昇とともに分子動態が速くなることが NMR によって確認された。現在は、回折 X 線明滅法(DXB)という測定方法を、歯車型分子の粉末結晶に対して用い、分子動態を測定している。

佐々木さんの発表についてのコメント

分子構造を知るために X 線の回折を使って間接的に観測するという手法を初めて知った。また 1分子という非常に小さいものを観測できる技術があるということに驚いた。発表では、分野が異なるために観測手法の仕組みや分子構造の耐久性など理解が追い付かない部分があったので、説明があると良いと思った。また、この研究が最終的に私たちの生活においてどのように寄与されるのかについて詳しく知りたい。

三上

研究内容に対して自信があり、説得力のある発表であった。さらに、博士課程での留学先をすでに検討しているなど、将来のビジョンをとても強く持っていることに刺激を受けた。一方で、異分野の内容であるがゆえに彼の研究の位置づけを正確に理解することが難しく、分野を越えて自身の考えを伝える難しさを改めて感じた。

村松

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