第20回卓越サロンを実施しました
報告担当:
- 奥村 皐月(新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻修士2年 WINGS-PES6期生)
- 朱 麒融(新領域創成科学研究科複雑理工学専攻修士2年 WINGS-PES6期生)
- 田嶋 智(新領域創成科学研究科環境システム学専攻博士1年 WINGS-PES4期生)
1.第20回卓越サロンの概要
日時:2022年7月29日(金)15:00 – 17:00
場所:Zoom(オンライン)
今回の卓越サロンでは,異分野の研究室紹介を聞くことにより新しい知見を得ることを目的として,2部構成のプログラムを用意した.第1部では卓越サロンホストから工学系の研究室紹介を行い,第2部では短時間で研究紹介を行うトレーニングをブレイクアウトルームに分かれて行った.会の準備に際してアンケートを行ったところ,本卓越サロンに参加するWINGS-PESの学生やSpring GXの学生がどのような研究をしているのかを知りたいという意見が寄せられた.限られた時間の中で各々の研究を知る機会を設けるために一人2分という制約を設けて研究紹介を行う時間を設けた.今回のサロンの特徴は次の点である.
⚫ 前半で研究室紹介を2種類行い,後半でブレイクアウトルームにおける交流を行う構成とした.
⚫ 後半のブレイクアウトルームでは研究紹介を一人2分で行った.
⚫ 幅広い領域で活動する参加者の研究内容に焦点を当てた.
本稿では会の中で上がった質問やアンケート結果を基に,今回の卓越サロンを振り返る.図1はサロンの集合写真である.参加者は72名だった.
2.第1部:研究室紹介
2・1 研究室紹介①(奥村)
研究室紹介①では,奥村が所属する大崎研究室の研究紹介を15分程度行った.大崎研究室では電磁エネルギー変換工学,超電導エネルギー工学を扱っており,特に超電導体の応用に着目している.超電導体が工学応用されるまでの歴史と超電導体の特徴や性質について説明したうえで,特に以下の4つのテーマについて紹介した.
⚫ 航空旅客機の電動化:超電導技術の適用可能性の研究
⚫ 宇宙の起源の解明へ:超低損失軸受・超電導技術の研究
⚫ 再生可能エネルギー利用・次世代鉄道システムの研究
⚫ 電磁界数値解析・連成解析・超電導体モデリングの研究
それぞれの例について,図や動画を示して説明した.また,後半では実験室のある建物や実験室の様子を動画で紹介した.質疑応答(10分程度)では,航空旅客機の電動化についての実現可能性や,現在の研究状況についての質問が出た.研究の深いところまで興味を持ってもらえたことは良かったと感じている.
2・2 研究室紹介②(朱)
研究室紹介②では,朱が所属する篠田・牧野研究室の研究室紹介を15分程度で行った.篠田・牧野研究室の研究テーマは多岐にわたり,分野横断的なプロジェクトを行っているが,超音波を用いた触覚について主に紹介した.VR/AR環境ではすでに高度な視覚・聴覚デバイスがある中で,なぜ触覚が必要なのかについて説明した.また,触覚の再現・再構築方法はどのようなものがあるのかについて説明したうえで,触覚の再現に超音波を活用するメリットについて説明した.触覚に関する様々な研究を行っているがその中でも特に以下の3つのテーマについて紹介した.
⚫ 異なる質感の粗さの感覚を表示する研究
⚫ 吸音減少を利用した温冷感,超音波による常温水ミストの気化促進を目指す研究
⚫ 気球の宙づりインターフェイスの研究
それぞれの例について,動画や図を示して説明した.研究室紹介をすることができたことは良い機会であり,聴衆からの様々な質問があったことは良かったと感じている.
2・3 アンケート結果
第1部に対するアンケートでは「違う研究室の雰囲気を知ることができて良かった」「勉強になった」などの感想が多くみられ,おおむね好評だったと考える.他分野の研究を聞く機会が少ないため,卓越サロンの場を使用して異分野の研究を知ることは重要なことだと考えた.一方で「質問についてはSlidoを導入した方がよいと思う」などの意見もあった.今回は挙手での質疑応答としたが,匿名性のあるSlidoの方が気軽に質問ができるため,より質問が出やすかったのではないかと感じた.今後は質疑応答についてSlidoの導入も検討すると良いと考える.ビデオを使ったオンラインでの研究室ツアーについては「異分野のラボの研究内容や建物の中を知ることができて面白かった」「他の研究室の設備等を見られたのが特に貴重な経験だった」などの感想が多くあった.Zoom上での研究室ツアーも検討したが,通信状況を考え,ビデオによる研究室ツアーとした.スムーズに行うことができ良かったと考える.
3.第2部:研究紹介トレーニング
第2部では,参加者全員がブレイクアウトルームで自分の研究について2分間のプレゼンを行った.自身の研究を要約し,一般の聴衆に伝えるスキルを向上することを目的とした.スライドを用意して説明する参加者が多く,活発に議論が行われていた点は良かったと感じている.「他分野の研究を聞いて議論できて良かった」などの意見もある一方で,「時間が短かった」「時間配分が難しかった」などの意見も見られた.参加者の多くが2分で研究を端的に説明することに難しさを感じていることが分かった.研究を要約する練習としての効果はあったと考える.時間配分の偏りが出たブレイクアウトルームもあったということから,最初に議論を進める進行役を決めることが必要だったと感じている.また,今回は全て使用言語を英語としたが,ブレイクアウトルームのグループ分けを工夫する必要性も感じた.事前に参加者名簿や使用言語の希望が分かると改善できると考える.
4.おわりに
今回は新しい試みとして2分間で自分の研究を紹介するという点に焦点を当ててサロンを行った.2分間という短い時間の中で地震の研究紹介を簡単に分かりやすく行うことは研究活動をする上でも重要であると考える.多くの参加者が難しさを感じていた点から研究を要約する練習としての効果はあったと考える.次回以降oViceなどを使ってのオンラインポスター発表等が行えると良いと感じる.